勉強一般

【中学英語】講師が実際に使っている中学英語先取り用おすすめ教材

筆者は、講師として10年以上にわたり小~中学生の生徒たちを指導しています。
少し前に比べ、中学英語の先取りをしているご家庭がかなり多く見られるようになりました。

市販されている英語テキストは非常に多くあり、「何のテキストを選べば良いかわからないので、おすすめテキストを選んでほしい」という相談を多く受けます。
そこで、今回は「塾に行くよりも、まずはお家で先取りをしておきたい」という方に向けて、実際に私が指導に使用しているおすすめ市販教材を紹介します。

どのような順番で、どういう使い方をすべきかもお伝えしますので、お家での先取り英語の助けになると嬉しいです。

急いでいる方は、次にあるcontents(目次)から「中学英語先取り用おすすめ教材」に飛んでください。

中学英語を先取りするべき背景

塾界隈では、「中学英語は先取りはもはや必須。しておかないとかなりマズい」と多く語られています。
詳しくは以下の記事にて。

この背景には、2021年度より実施されている、中学新指導要領の影響が大きくあります。
新指導要領についても過去の記事にてお伝えしていますので、よければご確認ください。

筆者もまた、「英文法先取り推奨派」です。
いったん中学の授業がスタートしてしまうと、ゆっくり文法を押さえている暇がほとんどないからです。

じっくり勉強しようと思っても、余裕を持って勉強できる期間が夏休み&春休みくらいしかありません。
また、英語だけに時間を使えればまだ良いかもしれませんが、学校の長期休みの宿題もやらなければならないし、他教科も勉強しなければならないという方がほとんどなのではないでしょうか。

また、一番心配なのが「中学の英語授業が始まってから、英語嫌いになってしまうこと」。
実際に、中学に入るまで先取りをしてこなかった中学1年生の保護者さんから、「ふと見たら、子どもが泣きながら英語の勉強していた」というお話を耳にしたことがあります。
ちなみに、この話をお聞きしたのは5月の終わりでした。中学に入ってから一番最初の定期テストを迎える直前の時期です。

一度英語嫌いになってしまうと、そこから脱却するのは大変です。

いつまでに、どこまでを先取りすべきか

先取りしようと思えばキリがないので、「いつまで」に「どこまで」先取りすべきかの目安を決めておきましょう。

これまで100人以上の生徒を指導してきた筆者が思うに、各時期で習得すべき英語は、

  1. 小学生の間→「中学基本英単語」&「中1時制(現在・過去)」&「助動詞(canとwill)」&(できれば)「助動詞(その他)」
  2. 中学1年生の間→「中学標準&高校受験英単語」&「中1他文法」&「助動詞(その他)」
  3. 中学1年生の春休み→中2以降の先取り

を最低限でも先取りしておくと良いでしょう。

中学1年生の間の話も出てきているので、「もはや先取りでないのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、どの文法を優先すべきかをわかりやすくするために入れました。

「助動詞」では、canやwillが中1英語に出てくるので他の助動詞とやるべき時期を分けました。正直なところ、用法が同じなため、中2以降で習う他の助動詞もcanやwillと一緒にやってしまうと楽です。

実際に筆者も、中学直前で英語指導希望があった小6生徒さんに概ねこの順で進めていきました。結果、中3の最後の県模試で英語偏差値65を記録しています。

英語を始める時期についての過去の関連記事はこちら。

中1時制(現在・過去)って何を指す?

中学英語文法の勉強を始める場合は、まず「中1時制」から始めると良いです。

中1時制とは、「be動詞と一般動詞の現在形と過去形」を指します。
また、それぞれで肯定文・否定文・疑問文のそれぞれを押さえましょう。

まずは現在形から。
英語のやり始めでは、be動詞と一般動詞をごちゃごちゃにしていまいがちです。
ここにつまづいてズルズル引きずってしまう人は多いですので、小学生のうちにある程度区別して英作できるようになっておけるとベストです。

現在形ができるようになったら、過去形もやりましょう。
ここも、過去形を習うと動詞の形がごちゃごちゃになりがちです。現在形と過去形の区別をしっかりつけ、正しい英文を書けるようになることが大切です。

中学英語先取り用おすすめ教材

それでは、中学先取り用教材をお伝えします。
すべて市販のテキストで揃えていますので、近くの書店やAmazonなどオンライン上でも購入できます。

「文法に入る前にアルファベットとローマ字をやらないと…」という方には、アルファベットやローマ字用の練習プリントはネット上に無料の良いものがたくさんありますので、そちらを使うと良いです。次に紹介します。

アルファベット練習用おすすめプリントサイト(ダウンロード化)
iドリル アルファベット練習【英語】

ローマ字練習用おすすめプリントサイト(ダウンロード化)
iドリル ローマ字(読み・書き)

それでは、中学先取り用教材をみていきましょう。

単語帳

文法の勉強を始める前に、単語を知らないとやっているだけ苦しいです。
アルファベットが書けるようになったら、単語を覚えることから始めましょう。
各テキストの詳しい使い方は、後ほどお伝えします。

小学生の間に先取りすべし:中学基本レベル

まずはこちらの英検5級用の単語帳から。中学基本レベルの立ち位置です。
中学英語で必要な単語はもちろん、もしこの先、英検を受けることになった場合にも非常に役立つ単語帳です。

小学生のうちに、こちらに出てくる単語はスペルまで書けるようになっておけるとベストでしょう。

中1の間に押さえるべし:中学標準レベル

中1の間には、英検4級単語まで押さえておくと良いです。中学標準レベルの立ち位置です。
英検用でありながら、中学英語で使う単語が非常にたくさん出てきます。

このレベルの単語は書けないと中学英語を戦えません。日本語の意味・スペル・発音を覚えていきましょう。

高校受験までに押さえるべし:高校受験レベル

高校受験レベルにはこちらを。英検3級単語です。

高校受験に向けては、英検の単語帳を使っていくと良いでしょう。
勉強を進める過程で、ついでに英検対策もできてしまうので一石二鳥です。

文法問題集

中学基本文法をさっと押さえるには、「英文法パターンドリル」シリーズが超おすすめです。
中学文法の基本を手っ取り早く押さえるのに、このテキストの右に出るものはありません。

文法パターンドリルの唯一の欠点は、各文法の最初に「その文法はどういうものか」を簡単に説明してあげる必要がある点です。

文法パターンドリルにも簡単な説明は載っているのですが、生徒さんがそれだけ見て文法の要点を理解するのは難しいと思われます。
保護者さんが簡単に要点を説明してから、このテキストに取り組んでもらうと良いでしょう。

筆者も、指導している生徒さんには文法パターンドリルを購入してもらい、使用しています。各文法に入る際には、まずこちらで各文法の要点を説明してからテキストに取り組んでもらっています。

「英文法パターンドリル」がおすすめな理由

このテキストのおすすめポイントは何と言っても、「各単元の基本文法を繰り返し書いて覚える」ことに特化した作りになっている点です。似た形の文が、繰り返しページ内に登場しているのです。

他の市販テキストが初学に向かないワケ

他の市販テキストは学校のテストや入試に合わせた出題の形になってしまうので、良くも悪くも様々な出題形式の問題が詰まっています。「文法を叩き込む」ということに特化していません。
そのため、どうしても文法以外のテクニックも必要になってしまいます。初学者には、オーバーワークになりがちです。

そのため、文法に特化して先取りをしたいという目的に向いていません。

一方で、「英文法パターンドリル」はとにかく文法の基本の形を覚えることに重きをおいた構成となっています。
どの文法も「選択問題→並び替え問題→英作問題」という構成になっており、各文法を使って「主語が・いつ・どこで・何を・どのように・~する」という文を徹底的に繰り返し練習できることが最大の特徴です。

また、肯定文・否定文・疑問文をしっかり分けてページ構成されているので、1つの見開きページで1つの項目だけに集中して練習できます。
英語を指導する側から見ると、「ほしいところがわかってるな~!」と唸ってしまうテキストです。

1つの文法に対する問題量もほどよく、繰り返し取り組むのにも最適です。

どのような手順で押さえていくのが良いか

中学英語を先取りする方には、推奨する学習手順があります。

英語学習手順

アルファベット→中学基本単語(→)中学文法

特に超初期は、この順番を守って進めてください。

アルファベットをかけるようになったら、中学基本単語に進みます。
中学基本単語に入ってからは、中学文法と並行して進めると良いでしょう。ただし、最低限の語彙は知ってから文法に入る必要があります。

特に英語は、問題文中に知らない語がたくさんありすぎると英語嫌いになってしまう可能性が高くなります。
そのため、上手に進めるためにも、単語帳を進めながらもテキストに出てくる単語は先に教えてから文法に入ると良いでしょう。
ここは筆者も指導する際に気をつけているところです。

単語の進め方

単語を練習する際は、「発音・日本語の意味・スペル」を押さえていくことが求められます。
先程紹介した単語帳には音声アプリに対応しているため、必ず音源を聞いて正しい発音を確認して覚えていきましょう。
これは、おいおい必要になるリスニング力にも繋がります。決して、カタカナ読みで覚えてしまわないように注意です。

そして、単語を覚える上で必要なのが「単語テストをする」こと。
まずは毎週10単語ずつで良いので、テスト日を決めてスペルをかけるように練習する習慣を毎日つけましょう。
慣れてきたら、テストする語数を増やしていきます。

単語テストに加えて、テキストに出てくる未知語も先に説明しておくと良いです。
先程も触れましたが、予めテキストに出てくる語を知っている状態を作った上で問題に臨んでもらい、「英語って簡単だな」と感じてもらいましょう。こう感じてもらえれば先取り大成功です。

文法の進め方

先取りのメインの目的である文法ですが、先程も記述したように「各文法に入る前に文法の要点を簡単に説明」してあげる必要があります。

筆者の場合、各文法に入る前に手作り要点まとめプリントを使用したり、ホワイトボードで要点を説明したりしています。

これを聞いて「お家でやるのはハードルが高いかも…」と思われた方へ。入試レベルは難しくても、基本文法の先取りだけであればお家でもできるかもしれません。どれくらいの説明が必要か、次で説明します。

繰り返しますが、「英文法パターンドリル」は、基本文法だけしか出てきません。そのため、テキストの冒頭にある要点まとめ箇所と、見開き右下にあるポイントがわかっていれば進めることができます。

要点解説の例

例えば、「英文法パターンドリル 中学1年」の最初に出てくる「I am ~.とYou are ~.」。
この単元のページを進められるようになるために予め伝えておくべきことは次です。

  1. 「わたしは~です」は「I am ~.」
  2. 「あなたは~です」は「You are ~.」
  3. 上記の「~」には名詞や形容詞が入る
  4. 名詞が単数の場合は名詞の前にaやanがつく

この4点さえ伝えておけば、「I am ~.とYou are ~.」の見開きページは進められます。
生徒さんの学年によっては、④はそこまで気にしないで進めることもあります。

これらの要点はすべて「英文法パターンドリル」の見開きページに書いてあるので、保護者さんが予め要点を読んで、お子さんに伝えればOKです。

ここまで見て「お家でやるのは難しい」と思った方は、英語講師にお任せしてしまいましょう。

単語同様に文法も繰り返しを

当たり前ですが、1回や2回やったくらいでは文法は定着しません。
単語同様に、繰り返しの練習が必要です。見開きページが一通り何も見ずに書けるようになったら、次に進みましょう。

また、進めていって単元の1区切りがついたら、それまでの単元の文法を総復習すると良いでしょう。
「英文法パターンドリル」では、単元の区切りごとに確認テストが入っています。
確認テストをするかどうかは個々の判断で良いですが、筆者は無理やりする必要はないと考えています。

その代わり、単元の区切りがきたら、そこまでにやった各文法の英作問題をランダムに盛り込んで復習テストをしてみると良いです。見開きページに載っている問題をそのまま使ってしまって良いです。
しばらく触れていない文法や、肯定文・否定文・疑問文とやっていくと、いつの間にかごちゃごちゃになっていたことに気付くタイミングがあるでしょう。

そういった場合は、またその文法に戻って見開きページを復習すれば良いのです。
これの繰り返しです。

また、さらに単元が進んだ際は別の単元からも問題を持ってきてテストをしてみると良いです。他の単元との区別がついているかどうかわかり、良い復習になります。

英語と並行して勉強すると良い重要科目

英語を進めていくうちに、どうも定着がしづらいなという人に出会うことがあります。
そういった方に共通しているのが、「国語の知識が不足している」ことです。

英語を進める上では、国語の知識をある程度わかっていないと英語も定着しづらいです。

例えば、先程の「要点解説の例」。
こちらには、「名詞」や「形容詞」、「単数」という用語が出てきました。この用語の意味がわかっていないと、いくら文法の要点を伝えても真意は伝わらないのです。

こういった言葉の意味を知っておくことも、英語の理解には重要です。

学年が上がれば上がるほど、国語力の差が英語力の差にもなってしまうのです。
小学校や中学校で習う国語の基本文法用語は押さえておきましょう。

手っ取り早く中学文法を先取りし英語を得意教科に

これまで筆者は、何百人もの生徒に英語を指導してきました。
独立してからは個人指導に特化していますが、みなさんここで伝えた進め方で先取りをしています。

指導してきた生徒さんには、定期テストで90点オーバー、模試では偏差値60オーバーが多数います。中には、高校入試で英語90点を取った方もいます。
余裕を持って英語先取りを進めてきた賜物だと思っています。
その先の大学入試でも英語が武器になっているので、方向性は間違っていないはずです。

中学校の英語授業が始まってしまうと、文法に特化した対策もしづらくなってきます。
学校のワークを進めなければならなかったり、学校で習う文法の順番で進めなければならなくなったり、定期テスト勉強で中断させられてしまったりと、定着しきる前に様々やらなければならないことに時間を取られてしまうのです。

まずは基本だけで良いです。英語先取りをする方々へ少しでも参考になれば幸いです。