「勉強のやり方を教えてください」「勉強しても成績がなかなか上がりません」というのは本当によくもらう相談です。
勉強はこれという正解のやり方はないのですが、推奨ルートというものは存在すると思うのですよね。
「やり方がわからない」「自己流だとうまくいかない」と思ったらまずこれを試してみると良いのでないかなという方法をこちらに書きます。
相談してくださった方々にほぼ毎回このやり方を説明しているので、いっそのこと記事にて書いてしまおうと思いました。
口頭で伝えられても覚えられる量に限界があるだろうし、説明するのに意外と時間がかかってしまうのですよね。
また、自主学習を進めるにあたり周りの方がサポートしてあげられる内容(「help可」と表すことにします)、便利ツールなども合わせて紹介していきます。
ではいきましょう、自主学習のトリセツ超保存版です!
この記事は「今から勉強を頑張りたい」「日々勉強をやっているけど結果に繋がりにくい」「王道の勉強のやり方を知りたい」といった方々向けです!
また、今回は普段学校がある日に取り組むべき内容について焦点を当ててお伝えします。
①自主学習心得編
心得編は、自主学習を進めるにあたり前提として確認しておきたい事項です。
- 自主学習の土台は日々の授業をよく聞きメモを取ることから
- まずは復習ベースに
- テキストに直接書き込まない
- 自信を持って正解できていない問題にはチェックをつける
- 間違い直し、解き直しが自主学習のメイン内容
- 自己流は標準レベルまでできてから
まずはこの辺りですね。当たり前すぎる内容も念のため載せておきます。
これらは共通認識として話を進めていきます。
特に③~⑤はこれから先伝える内容にかなり重要です。
自主学習をする際にとにかく1周することを目標にしてくれている方が多いのですが、実際のところ1回解いてからが勉強の始まりです。
いいですか、もう1度言います。
1回解いてからが勉強の始まり、です!!!
②事前準備編(help可)
事前準備編は、勉強する前に用意しておきたいものたちを紹介します。
念のため当たり前どころも入れておきます。
- 筆記用具
- ノート(標準B5サイズ以上推奨、ルーズリーフはおすすめしません)
- 問題集(学校ワークor市販テキストor塾テキスト)
- 教科書
- 辞書(できれば電子辞書)
- プリンター
- スキャンアプリ
①~④までは必須、⑤~⑦はあると便利、というものです。
次にそれぞれの選ぶポイントや用途など簡単に説明します。
各用途を簡単に説明!
こちらではそれぞれ何に使うのか、また選ぶ際にどういったところに注意すれば良いのかといったところをお伝えします。
②ノート
ノートは一般的なB5サイズのものでも構いませんが、もしプリントや問題をコピーしたものをノートに貼りながらやるのであればA4サイズの大きめサイズがおすすめです。
特にお家で使うノートはA4サイズが使い勝手良いです。
問題をコピーして貼って、解き方を細かく書かなければいけないほど、サイズの大きなノートは効力を発揮します。
また、数学や理科など理系科目はグラフや表を描かなければいけない場面が出てくるでしょう。
そういった場合、ノートにグラフも描けるためにも「罫線上に等間隔に並んだドット」が入ったノートが良いです。
「グラフはノートに描きにくいのでテキストに直接書き込みました。」という声をよく聞いていたのですが、グラフだって解き直ししたいですよね。
そんなときにこのノートがあればもう「ノートにグラフが描けない」なんて言えない(言わせない?)はず。
また、「ルーズリーフでも良いですか?」と聞かれることがあるですが、ルーズリーフはおすすめしません!
せっかく書いたノートを無くしてる人が本当に多いので。
また、順番がわけわからなくなったりする人もいるので、普通のノートが一番良いです。
⑥プリンター⑦スキャンアプリ
これらは、書き込みしてやらなければならないテキストを解き直しできるようにするために使います。
本来は書き込みしないでノートに途中式や解答を書き進めていくのが基本となるのですが、学校によってワーク提出で本体に書き込んで提出しなければいけないと指定している学校もいまだ多く存在します。
繰り返し解き直しをしたいのに書き込まなければいけない場合、解き直しは既に書き込んだものが見えない状態を作る必要がありますよね。
書き込んだものが見えない状況を作るためには、
- スキャンアプリでテキストをあらかじめPDF化して保存しておき、必要に応じてプリントアウトして使う
- 書き込む前にコピーまたはスキャンを取る
これらの方法が挙げられます。とにかく1部なにも書き込んでいない予備を取っておきましょう、ということです。
①の方が楽なのでおすすめです。
解き直し用に問題集をコピーして予備を一通り作っておく、となるとなかなか抵抗がある(面倒に感じる)お子さんが多いですので、親御さんがもしhelpできるようであればコピーやスキャンをして手伝ってあげるのも良いでしょう。
その際、「⑦スキャンアプリ」を使ってPDF化してから一気にコピーすると楽です。
スキャンアプリは様々あるようですが、個人的に重宝しているのがAdobe ScanのPDFスキャンアプリです。
こちらは生徒の親御さんに教えていただきました。みなさん便利なものを知ってらっしゃる…!!
普通のカメラアプリで写真を撮るのと何が違うのかというと、
- スキャンアプリはテキスト範囲を読み取ってテキスト部分だけをPDF化してくれる(つまり余計な背景が一切入らない)
- 複数ページ撮ったものも1つのPDFにまとめてくれるので撮った後にいくつもファイルを開かずに1つPDFを開けば内容がすべて見れる
便利ですね~!
綺麗さでいうと、ちゃんとスキャナーで手動スキャンした方がやっぱり綺麗です。
ですが、1ページ1ページスキャンする手間を考えると多少のページの歪みくらいであればスキャンアプリで読み取ってあげた方が断然楽でした。
肝心の問題集は何を使えば良いの?
先に便利グッズをいくつか紹介しましたが、勉強に使う道具の中で何より一番大事なものは「何をやるか?」ですよね。
つまり、問題集は何を使うかということです。
こちらについては、これまであまり勉強してこなかった方にもある程度やってきている方にも同じことを伝えています。
まずは学校で使っている問題集(ワーク)を完璧に仕上げることからやりましょう!
それに加え、定期テストで良い点数を目指すのであれば授業で使っているプリントや小テスト、「やっておいてね~」と配られたプリントも追加しましょう。
「え、学校のワークはいつもやってるんだけど…」という方、そういった方はぜひこの先にある 「⑤初見編」「⑥〇つけ・解き直し編」 「⑦解き直し編」を見てみてください。
学校のワークやプリントだけでも案外やることはたくさんあります。
また、NGな取り組み方が様々なものに中途半端に手を出してしまうこと。
どれも1周しかできていない状態が一番「やっているのに結果に繋がっていない…」とやる気を大きく失うことに繋がってしまいかねません。
学校のワークがない or 学校のワーク以上のレベルを身に着けたい場合は?
稀に、学校指定のワークを配っていない学校もあるようです。
また、学校の定期テストでワークにないような初見問題も出され、ワークを仕上げるだけでは85点以上取れないという学校にも出会ったことがあります。
これらに当てはまる生徒たちには塾教材or市販教材を使うことをおすすめしています。(学校ワークがある場合は学校ワークも仕上げることが前提です。)塾教材の方が内容量が充実しているので圧倒的におすすめです。
市販教材を使用する場合は、問題数が少ないのでその欠点をカバーする必要があります。
基本~標準メインのテキスト1冊、標準~発展・応用メインのテキスト1冊あると良いでしょう。
もちろん、こちらもご本人のレベルに合わせる必要がありますので基本がまだまだ心配な方は基本~標準レベルテキスト2冊でも良いです。
また、テキストを選ぶ際は解説が丁寧なものを選ぶと良いでしょう。
自主学習で取り組む場合、解説が不十分だと勉強を進めにくいですよね。
どれにしようかなと迷っているのであれば、そのうちの1冊は教科書ワークや教科書トレーニングを使っても良いと思います。
市販教材のおすすめ記事もいつか書きたいと思います。
③問題仕分け編(help可)
さて、取り組むものとそのお供がそろったら、いよいよ勉強開始!
…といきたいところですが、まずは「どの問題から取り組むべきなのか?」をはっきりさせておきましょう。
もちろん現状のレベルに合った問題から攻めるべきですよね。
定期テストの点数(平均65点想定)を指標に、優先的に取り掛かるべき問題を点数別で挙げてみましょう。
- 65点以下→単元に関連する既習年度の基本総復習+現在の学年のA問題(基本問題)
- 65点~70点台後半→現在の学年のA問題(基本問題)+B問題(標準問題)
- 80点~→現在の学年のA問題(基本問題)+B問題(標準問題)+C問題(発展問題)
学校によって定期テストのレベルがかなり違うので、学校のワークを仕上げれば9割前後取れるテストだと想定してこちらの目安を作りました。
点数別に少し詳しくお話していきましょう。
テスト65点以下の人たちが取り組むべきこと
平均以下~平均前後の方々は、基本を早急に身に着ける必要があります。
また、平行して日々の勉強習慣を身に着けること、もしくは勉強方法を再度見直す必要があります。(詳しくは 「⑤初見編」「⑥〇つけ・解き直し編」 にて)
基本というのは、暗記単元であれば教科書に太字になっている用語とその意味や、数学であれば過去学年の内容も含めた計算のルール確認、英語であれば語彙、英文の語順や過去に習った文法です。
中学生の英数を例に挙げます。
テスト65点以下の人たちが中学英語でやるべきこと
英語でまずやるべきことは「中1文法の復習」です。
平均点に届いているかいないかくらい、ということは基本文法から身についていない、ということなのですよね。
文の語順や時制といった基本のところで間違うので、この状態で中2以上の人たちがいくら今習っている内容をやったところでいつまで経っても点数が取れるようになりません。
時間はかかりますが、中1文法から復習すべきです。
中1文法を無視したまま先の内容を積み上げても、既習文法部分での時制や単語の語順でのミスが重なり結局ポロポロと点を落としてしまうのですよね。中1文法があやふやなまま途中からやっても正直時間の無駄です。
それでは何をやるべきかというと、
- be動詞・一般動詞の肯定文・否定文・疑問文(一人称&二人称)
- 三人称単数形の肯定文・否定文・疑問文(「3単」or「3単ではない」の区別含む)
- 過去形の肯定文・否定文・疑問文
- 進行形のの肯定文・否定文・疑問文
- 疑問詞
- 未来形
- その他文法
ここは必ず復習しなければいけないところです。
疑問詞をどこに入れるのかでやや悩みますが、基本時制(現在形・過去形・進行形)を最優先で知っておかなければいけないので、少し後回しにしました。
また、忘れてはならないものが「語彙」です。
問題に出てきて知らなかった語彙はリストアップしてまとめて定期的に単語テストしていくと良いですよ。
今現在中1の方たちは、今学校で習っているところまでの上記文法を優先的に復習しましょう。
テスト65点以下の人たちが中学数学でやるべきこと
数学で平均点前後の方々は、基本の計算手順から復習しましょう。
「計算ミスが多いだけだから大丈夫」と思っている方は、その考えを一度改めるべきです。
単なる計算ミスだったと思っているものも、ミスが多いのは計算ルールが身に着いていないと捉えるべきです。
必要であれば、小学校の算数まで遡ってやりましょう。
計算の何を復習すべきかというと、
- 小学校の分数(四則計算)
- 中1計算【正負の数・文字式の四則計算・一次方程式(すべて分数含む)】
- 中2計算【式の計算・等式変形・連立方程式(すべて分数含む)】
- 中3計算【展開・素因数分解・因数分解・平方根の四則計算・二次方程式(すべて分数含む)】
これらです。もちろん、今現在までに習っているところまでで良いですよ。
大丈夫だとなんとなく思っている単元も必ず触れてください。各単元1回あたり各20問くらいずつランダムで問題を選び、ざっとテストしてみると良いでしょう。
やってみて、9割解けない単元は要復習単元と考えて良いです。
要復習単元となったところは毎日数十問ずつとにかく計算練習を繰り返しましょう。
ここで大切なのが、「これはただの計算ミスだったから間違いにカウントしなくていいや~」という甘さは一切やめることです。
ただの計算ミスだと思っている間違いも真剣にとらえないといつまで経っても計算ミスはなくなりません。
テスト65点~70点台後半の人たちが取り組むべきこと
「テスト65点以下の人たちが取り組むべきこと」の内容に心配があるなら、そちらから先に取り組みましょう。
それらができた上で何を上乗せしてやるべきかというと、
- 今習っている内容に関する教科書に出てくる用語・公式・文法を意味・使い方含め要点を振り返る(授業ノートやワークの要点まとめにて)
- ワークのA(基本)問題
- ワークのB(標準)問題
- ①~③を繰り返す
「いやいや、こんなのやってるんだけど!」と思う人たちは、ぜひこの後の⑤初見編~⑦解き直し編を見てみてください。
見直しがなあなあになってはいませんか?
テスト80点以上の人たちが取り組むべきこと
テストで80点以上取れている人たちは基本は大丈夫なので、ここからはぜひ応用力・思考力を鍛えていきましょう。
では応用力・思考力を養うためには何をすれば良いのかというと、
- 学校ワークの発展・応用問題を完璧に
- 標準~発展レベルを多く含む市販テキスト
- 入試過去問
これらにぜひ取り組んでみましょう。
学校ワークをまずは優先的に、ワークがかなり仕上がってきて間違えることもほとんどなくなってきたら市販テキストや過去問にも手を広げてみると良いでしょう。
この辺りを丁寧に、間違えたものを繰り返し取り組むことができればかなりの応用力を身に着けられるはずです。
④計画作成編 (help可)
取り組むべきことが決まったら、いきなり勉強開始!とは言わず、まずはどのペースで取り組んでいくか計画を立てましょう。
過去に「計画立てないでその日その日にやることを決めたい」という生徒がいたのですが、行き当たりばったりで決めて取り組むのはおすすめできません。
なぜかは、その生徒はその後どうなったかを例に挙げてお話しましょう。
最初はみなさん、「勉強頑張ります!」「志望校に合格できるよう今のうちから先取りしてやります!」なんてとても意気込んでやる気を見せてくれます。
ではその後最初の勢いは継続できたのでしょうか?
「自分でやることを決めて取り組みたい」と言っていたはずが、本人に任せてみるとあれよあれよと勉強は後回し後回しになり、しまいには毎回の宿題すらも間に合ったり間に合わなかったり…とみるみるうちに自分を律することができない状態に陥ってしまっていました。
一度こうなってしまいそれが長く続けば続くほど、勉強習慣を一から身に着けていくのもかなり時間がかかります。
したがって、最初から自分のやる気を過信せずに日々やるノルマを事前に作った方が良いでしょう。
勉強計画はどう立てれば良いの?
勉強計画を立てる際のポイントは、「できると思っている量の7割くらいの量で計画を組む」ということです。
もしかすると半分の量でも良いかもしれません。
最初のモチベーションのまま日々の量を決めると、絶対に続かないからです。
ポイントは「物足りないな」というくらいの量で日々の計画を組むということです。
勉強計画の立て方としては、
- 各教科で1冊ずつ取り組むテキストを決める(複数のテキストに手を出さない)
- 1日に取り組むのは1~3教科まで(最初のうちは少なくて良い)
- 学校・塾の課題がやらなければいけない日は自主学習は無理して入れなくてよい
- 最初は「これまでの勉強量+20分程度」で終わらせられる量を日々の計画に入れ、慣れてきたら徐々に量を増やす
- 1週間で取り組みたい小単元を各教科決める
- ⑤で決めた小単元を3日分に分け、各分を1週間になるべく等間隔に取り組めるよう計画に入れる
- 気持ちが乗らない日でも最低5分は毎日何かしら勉強する状態を必ず作る
- 間違いが多すぎる(目安はページの半分以上の間違いがある)ページは翌日再度取り組めるよう計画を調整する
- 1週間の計画をキツキツに作りすぎず、計画がずれた場合でも1週間のうちにカバーできるよう量を予め予備日を作っておく
- 間違えた問題を解き直しできる日を1週間のうち1~2日は確保しておく
- 1回解けるようになった内容も1週間~1か月単位で解き直しできるように計画を立てられるとなお良し
これらが計画を立てる際に留意しておきたいポイントです。
特に⑥が重要です。
同じ単元の内容を1日でドカンと終わらせても定着にはあまり結びつかないのですよね。
各小単元を3日分に分け(それぞれの分を1~3と呼ぶことにします)、「月曜に1を、水曜に2を、金曜に3を、そして土日で間違いを解き直しする」と小分けにして取り組んだ方が圧倒的に記憶に結び付きやすいです。
これを各教科同じようにし、各曜日でずらしながら計画を組めば日々の各教科取り組む量は少なく、かつ効果的な復習ができます。
このような取り組み方をランダム学習と呼びます。気になった方はぜひ調べてみてください。
勉強習慣を身に着けるためには1週間の調整がとにかく重要です。
日々こなせる量を入れることはもちろん、予期せぬ事態で取り組めなかったものを1週間のうちに消化できるように予備日を作っておくと良いでしょう。
また、解き直しをする日を作ることも大切です。
初見で取り組んだ際にあまりにも間違いが多かったページは翌日にも取り組むよう計画を少し変更し、またその他間違えた問題も1週間のうちに解き直す日を作っていくと定着にも結びつけやすいでしょう。
また、1度解けるようになったものも時間が経てば解き方を忘れてしまうのが人間です。
計算問題など日々触れることが多い内容は良いのですが、別の単元に入ってしまってしばらくやらなくなった単元、応用問題などは1週間~1か月空けて定期的に解き直しすると長期記憶に結び付けやすいと言われています。
本人のタイプによって計画の立て方も少し変えよう
人によっては日々しっかりやることが明確になっている方が取り組みやすい人、気分によってやる内容を変えたい人などその人の性格によってもどのように計画を組むか少し変わります。
- 日々やるべきことが決まっている方がやりやすい人→1週間に取り組むものも各日予めきっちり決める
- きっちり決まりすぎると窮屈に感じてしまう人→1週間にやらなければいけないものだけ決めておき、それをどの日に取り組むかは柔軟に各日で決める
ただし、後者の人は後回しにしてしまいやすいというデメリットもあるので、そういった場合はもっと狭い区間で取り組むものを設定(例えば月~水までに〇ページまで終わらせる、木~土で△ページまで終わらせる、日曜日は月~土にやったものの間違い解き直し等)するなど工夫が必要です。
計画通りに勉強を取り組むコツ
ここまでやっても計画通りに取り組めない、という人は残念ながら本人のモチベーションが低すぎることに原因があります。
正直、やる気のない人に取り組ませることは至難の業で、それこそ毎日隣にいて日々やることを確認して取り掛かるところまで見届けるしかないでしょう。
それでも、その1歩手前として試してみると良いのが、「少し距離間のある第三者に提出する制度を作る」ということです。
「 少し距離間のある第三者 」というのは、例えば学校の先生や塾の講師などが挙げられます。
計画表を提出して、それ通りに取り組めているか日々チェックしてもらえるよう提出制度にすると良いでしょう。
その際、先生や講師からコメントがもらえると生徒たちのやる気もアップするようです。
⑤初見編
取り組むテキストも決めた、そして計画も立てた!となったらいよいよ計画に則ってテキストを進めることを始めましょう。
まずはテキスト1周目の取り組みですね。
1周目の取り組みで大切なことは、
- 授業で習ってから2・3日以内に取り組めるとベスト
- 問題を解くときには必ずノートにやる(テキストに直接書き込まない)
- 最初は何も見ないで自力で取り組む
- 途中式を残す・誰が見てもわかる説明で書く
- ③でわからなかったものは教科書やノートで公式を見たり例題を真似しながら解いてみる
- 〇つけは取り組んだその日に行う
- 自力で解けなかった問題にはテキスト本体にチェックを付けておく
- 間違い直しは取り組んだ当日or1日以内に行う
- 間違い直しを何よりも一番丁寧に
- 初見で解けなかった問題は後程必ず解き直しをすること(1ページで半分以上間違えているページは翌日に解き直しすること)
です。
習った内容を早く定着させたいのであれば習ってから1~3日以内に復習する必要があります。
4日以上経つとほとんど習っていない状態に戻っている人がほとんどなのですよね。
人間の記憶力はそんなものみたいです。
そして問題を解く際に大事なのが、途中式を残すことや普段から誰が見てもわかる説明を心がけて書くこと。
数学では途中式がない人ほど計算ミスが多いのですよね。
また、国語だけでなく数学や理科などの文章題では言葉のルールや記述のルールを守って書くことが大切です。
「主語と述語は繋がっているか」「誰が見ても自分が書いた説明を理解してくれるか」ということを確認しながら書いていくと良いです。
また、自力で解けなかった問題には必ずテキスト本体にチェックを付けておきましょう。
毎回チェックを付ける癖をつけておき、解き直しの時に「あれ?どれわからなかったんだっけ?」という状態を作らないようにしましょうね。
このチェックは親御さんがhelpしてあげても良いでしょう。
初見で解いた際に、ほとんどわからないと絶望するのですよね。その気持ちはとても分かります。
「③問題仕分け編(help可)」で自分に合ったレベルに問題を絞っているはずなので、気が遠く感じても繰り返し取り組めばきっとできるようになるはずです。
「⑨初見で解けなかった問題は後程必ず解き直しをすること」のように、あまりにも1ページ内で間違えている問題が多い場合には「⑧間違い直しを何よりも一番丁寧に」までやった上で翌日にもう1度トライしてみると良いでしょう。
記憶も新しいので、初日より解けるものが少しでも増えているはずです。
これを繰り返せばいずれはきっと解けるようになります。
根気よくいきましょう。
それでは次から〇つけ・間違い直しのやり方を詳しく解説していきます。
⑥〇つけ・間違い直し編 (help可)
勉強の中で、最も大切なパートがこちらに含まれています。
ここまで話していた内容をやって初めてスタート地点に立てたようなものです。ここからがようやく勉強の始まり。
この先を怠ると、いくら問題をガシガシ解いても効果ゼロです。
「〇つけ」と「間違い直し」に分けてそれぞれ大切なポイントをお話していきます。
【重要】「〇つけ」で意識すること
問題を解いたらすぐ答え合わせをしましょう。
できれば本人がやるのが一番ですが、最初のうちはお家の方が手伝ってあげても良いでしょう。
そして意外と多いのが、「間違っているのに〇がついている」ということです。
自分の答えと解答の答えをちゃんと見ているようで見ていないのですよね。
こちらも最初のうちはお家の方がダブルチェックしてあげると良いかもしれません。
本当は間違っているのに正しいと思いこんでしまうのはまずいですよね。
また、〇つけが終わったら必ずテキスト本体に自力で解けなかった問題にチェックをつけておきましょう。
鉛筆で印をつけておくのが後で手を加えやすく良いでしょう。
また、印をつけるのも1回切りではなく2回目間違えたもの、3回目間違えたもの…と繰り返しチェックをつけることになる場合もあるので、1回目に間違えたものにはこの印、2回目に間違えたものにはこの印…と自分でパッと見て区別できるような印を決めておくと良いです。
そして、〇つけが終わったら必ず間違い直しまでセットでやることを忘れてはいけません。
【超重要】「間違い直し」 で意識すること
「勉強」に置いて最も重要な工程はなにか、と聞かれれば「間違い直し」と「解き直し」だと答えるでしょう。
それほどに間違い直しは重要です。
勉強しているのに成績が伸びない人たちは必ずこの「間違い直し」と「解き直し」のどちらかに問題があると言っても過言ではないと思っています。
間違い直しにおいて意識してほしいことは、
- 「正しい答えを書くだけ」は間違い直しとは呼ばない
- 自身がどこで間違えたのか(どこがわかっていなかったのか)解答と自身の答えを照らし合わせて間違い箇所を見つけノートに訂正やメモを書いておく
- 発展問題や利用の問題でわからなかったものは解答と教科書を用意し、教科書のどの問題(公式)とどの問題(公式)が組み合わさってできているのか探しノートにメモしておく
- 解説を読んでわからなかったものは先生や講師に聞いて必ず解決すること
- 解答を一通り理解できたら、問題だけを見て解答を再現してみる
標準レベルまでの問題を解けるようになりたいのであれば②まで、それ以上の問題を解けるようになりたいのであれば⑤までやる必要があります。
なかなか成績が一定以上上がらない人って、間違い直しが雑なんですよね。
「①正しい答えを書くだけ」だけやって終わってしまっている人に何度話をしたことか。
②から先をいかに丁寧にできるかが成績アップの鍵
これまでに見てきた生徒たちには「②自身がどこで間違えたのか(どこがわかっていなかったのか)解答と自身の答えを照らし合わせて間違い箇所を見つけノートに訂正やメモを書いておく」をやれていない人がとても多くいました。
特に、「自分がどう考えて間違えたのか」ということを振り返れていない人が意外と多いことに気付きました。
公式に必要な値が問題文中の別なものだと勘違いしていたとか、用語の意味そのものが実は曖昧だったとか、途中でやっていることを見失ってしまい、どこまでわかっていたけどどこからやることを見失ってしまっていたか、など。
自分の考えと解説を照らし合わせるためにも、初見編「途中式を残す・誰が見てもわかる説明で書く」ということを予めやっておくことが大切なのですよね。
それでも何か書いて間違っているのは正解に近づく可能性が高い間違いで、「どう考えば良いのかまったくわからず手を付けられなかった」と解答欄が空欄になっていることの方が発展問題では多くなってきますよね。
この手の場合は、まずは解説を見てこれまで習った公式・文法のどれを使って解いているのか明らかにしていきましょう。
これが「③発展問題や利用の問題でわからなかったものは解答と教科書を用意し、教科書のどの問題(公式)とどの問題(公式)が組み合わさってできているのか探しノートにメモしておく」に当たります。
そして大事なのが「なぜ」この問題でその公式を使わなければならなかったのか解説をじっくり読み込むことです。
聞かれているものを求めるに必要だったもの(公式・文法・指示語・語彙等)はなんだったのか、解答を見て端的に言えますか?
また、解答の文章や式を意味のまとまりごとに分けて、それぞれは何のために必要なのか説明できるでしょうか?
問題文で聞かれているものを求めるにはどの公式が必要だったのか、では解答に載っている他の計算はなぜ必要だったのか、それぞれの計算は何を求めるために使われていたのか、どの文法とどの文法が組み合わさってできた文だったのか…などなど、問題文をパーツに分けてそれぞれで必要だったものを教科書にある公式や文法とともにノートにメモしていきましょう。
間違い直しは丁寧にやればやるほど時間がかかります。しかし勉強に時間をかけるべきところはここです。
⑦解き直し編
初見を解いて、〇つけして、間違い直しまでしたら忘れてはいけないのが解き直し。
解き直しは既に1回解いているだけに、油断を見せてしまう人もそこそこいるようです。
解き直しする際に気を付けることは、
- 解き直し対象は前の周回でやった際に間違えた問題
- 解き直しであろうと問題文をしっかり読んで解くこと
- 解答を覚えてしまっているものは、なぜそれが答えになるのか、過程も含め解説できるかセルフでor誰かに解説してみる
- その他大切なことは「初見編」と同じ
- 解き直して解けるようになった問題はテスト直前になったら再度解き直すこと
解き直しであろうと大切なことは基本、「初見編」と変わりありません。
解き直しが作業になってしまわないよう注意
解き直しでは1回やっているだけに問題文を読むことが雑になりがちなので、「なんとなくこんな問題だったような」と前回解いた記憶に頼って解き直さないように注意しましょう。
必ず問題文を初見でやったように一言一句読んで解き直しするように。
繰り返し解き直しをしているにも関わらず結果に繋がりにくい人は、解き直しが雑になっていないか要チェックです。
解き直しが機械的な「作業」になってしまう原因は、答えのみを覚えてしまうことにあります。
意外と、問題文もあまり読まないまま、解答を出た順で覚えてしまいただ単にそれを書いてしまう人がいるんですよ。
これでは「学習」ではなく単なる「作業」ですよね。
解答を覚えてしまっている人は、用語問題であれば解答の語から問題文を再現してみる(=用語の定義を答える)、問題文と解答を1対1に対応させて説明できるかやってみる(=問題文のどの箇所が解答の文と対応するのか先生になったつもりで1つ1つ解説してみる)、など工夫してみると良いでしょう。
上記の要領が掴めない場合は、初めのうちは先生やお家の方と一緒にやってみるのも良いですね。
それでもどうしても本当に覚えられたのか、テストで対応できるか不安、という方は似た構成の別テキストをざっと解いて確かめてみるのも手です。
なぜ解けるようになった問題もテスト前に解き直す必要があるか?
⑤で、「解き直して解けるようになった問題はテスト直前になったら再度解き直すこと」と書きました。
解けるようになればそれで終わりで良いのではないでしょうか?
…というと、それでは良くないのですよね。
それはなぜでしょうか。
それでは、1年前に習っていた単元の章末問題でもぜひ解いてみてください。
どうですか?全部スラスラ難なく解けたでしょうか?
解き方を忘れてしまったものも多くあったのではないでしょうか?
「そりゃ1年前だから…」という声が聞こえてきそうな気もしますが、数週間前に解いた問題ですら同様な状況は起こり得ます。
とある生徒では、初見で解けなかった問題が解けるようになってから1週間空いただけで再び解けなくなっていました。
決してこちらの生徒だけではなく、努力して解けるようになった問題も時間が空くと解けなくなってしまっている、という状態は本当に誰にでも起きます!
だから、解き直しで解けるようになった問題も時間が空いたら再度解き直す必要があるのです。
⑧計画見直し編
勉強を始める際に立てる計画において大切なことは、「④計画作成編」にて説明しました。
初見問題や解き直しを順調に進めていけるようになったら、立てた計画の実施状況、日々の進捗、今後の課題などは定期的に見直ししていきましょう。
計画を見直す際チェックすべきポイントは、
- 日々のこなした学習状況(教科・取り組んだテキストページ・学習時間)を記録
- 各教科の取り組みのバランス
- 勉強量
- 目標の再設定
- 今後の計画を立てる(解き直しを入れることを忘れずに)
これらに留意して 「④計画作成編」 で立てた計画がどれくらい実施できているのか振り返っていきましょう。
自身の日々の取り組みの記録をつけていくことは、勉強を習慣化する際にも非常に重要な役割を担ってくれます。
記録を振り返り、まずは立てた計画通りに実施できているのかチェックし、各教科、そして教科内の取り組みバランスをチェックします。
1つの教科に極端に時間をかけてしまっていないか、そして教科内ではしばらく取り組んでいない単元がないか確認します。
ここで偏りがあるようであれば次週からの計画をバランスを取ったものに変更するのも良いですね。
振り返りが終われば、また 「④計画作成編」 で立てたように次週からの計画を立てます。
その際、これまでやったもので久しく取り組んでいなかったものの解き直しを入れられると定着により効果的です。
また、定期テストや模試など大きな試験が終わった直後もこの計画見直しは効果を発揮します。
試験までの取り組みを振り返り、そして試験で出題されたものを見て、自身が取り組んできたもののがどれほど結果に結びついたのか振り返ります。
やった内容が点に結びついているのであればこの調子で、余裕があれば1つ上のレベルも取り組みたいですね。
やった内容が出題されているけど点に結びついていないのであれば、取り組んでいる内容はあっていますが取り組み方に問題があるということです。
「⑤初見編」~「⑦解き直し編」に書かれていることを見直しましょう。
どこか作業的になってしまっていたところがあったはずです。
そもそもやった内容が出題されていない、という場合は取り組んでいる内容を見直す必要があります。
試験内容を見直して、取り組む問題集から見直してみましょう。
まとめ
「自主学習のトリセツ」、いかがだったでしょうか。
書き始めから書き終わるのにかなり時間がかかってしまいました。
とても長いので、そもそもすべて全部確認しなければいけないわけではありません。
ご自身に必要なところだけ見てもらえればと思います。
その中でも、「⑤初見編」~「⑦解き直し編」 は必見です。
成績に伸び悩むひとたちはこの辺りに必ずと言って良いほど原因があります。
このトリセツを読んで、何か疑問に思ったことや相談したいことができたらぜひ「なんでも質問箱」へメッセージをいただけたらと思います。
それでは、みなさまの自主学習が少しでも充実したものになれば幸いです。
わかるものが増えるほど、勉強は楽しくなっていくことでしょう。